診療内容
一般診療
口腔外科(エナメル上皮腫)
整形外科(骨盤骨折)
外科(頬骨腺唾液瘤摘出手術)
フルデジタルレントゲンシステム(ケアストリーム社 DRX-1)を2008年より導入しています。画像が綺麗で低線量で撮影できるので、動物にも撮影者にもやさしいレントゲンシステムです。解析度が高いため詳細な検査ができます。
椎間板ヘルニアに関して
犬の椎間板ヘルニアは、重症化すると歩行ができなくなったり、排尿が正常にできなくなる疾患です。
重症度によりますが、早期に正確な病状把握と診断をし、適正な治療を実施する事で多くの罹患犬は回復可能であると我々は考えています。
当院では、椎間板ヘルニアを疑う症例に対しては、神経学的検査、X線検査、血液検査により病状を把握した上でまずは内科治療をスタートします。病状に応じて、好中球エラスターゼ阻害薬、副腎皮質ホルモン、抗生物質、ビタミンB複合剤、半導体レーザー照射、鍼、漢方他自然療法薬を用いて治療をします。
重症の場合は、MRI検査による画像診断を飼い主様に提案し、診断結果をもとに、当院において椎弓切除ならびに脱出した椎間板物質を手術用顕微鏡下にて摘出する外科手術を実施します。術後は、リハビリテーション、鍼、漢方他自然療法薬にて治療を継続します。また、間葉系幹細胞療法(脂肪幹細胞移植)も取り入れています。
椎間板ヘルニア術中術後の動画
眼科診療
眼科一般診察、白内障手術、緑内障バルブ設置手術、角膜・結膜手術、眼瞼形成手術等を実施しています。オキュラーサーフェスの考えに基づいた検査と治療を行っています。
眼科初診は、診察に時間がかかるため予約制になっております。お早めに、電話連絡をお願いいたします。
白内障に関して
白内障は、水晶体(レンズ)の蛋白質が変性して白く濁ってしまう病気です。白内障は進行すると視覚喪失のみならず、様々な合併症を引き起こします。特に多いのが水晶体起因性ぶどう膜炎です。これは、水晶体の内容物が水晶体の外に漏れ出し、眼内で強い炎症をおこす病気です。また、眼内炎から発症する続発性の緑内障や網膜剥離をおこし失明に至る事もあります。白内障の完治には、手術が唯一の治療方法です。
白内障の手術は、眼科用手術顕微鏡(ZEISS OPMI Lumera i )、超音波乳化吸引装置(Stellaris Elite )を用い、極小切開創から、変性した水晶体内容物を粉砕吸引し、可能な限り人工眼内レンズを挿入します。
緑内障に関して
犬の緑内障は、眼圧上昇によって視神経が障害され、急速に視覚を喪失する病気です。
内科治療による眼圧コントロールや、「アーメド緑内障バルブ」というシリコン製インプラントを目の中に埋め込み、眼内に貯まった眼房水を持続的に外に排出する外科治療を実施しています。
流涙症に関して
犬の流涙症を放置すると角膜に障害をきたしたり、目の下の皮膚が炎症を起こす事があります。
犬の流涙症の原因は種々ありますが、眼瞼の形態的異常ならびに機能的異常によって起きている場合は、眼瞼形成術といった外科処置によって対応する場合もあります。流涙症はその原因により対処方法が異なるため、先ずは専門的検査が必要です。
再生医療
再生医療とは、自然治癒能力の基である細胞の増殖や分化能力を高めて病気を治そうとする医療です。
患者である動物から採取した細胞を体外で増やし、生理活性物質や細胞が増えるための足場を加える事で、目的にあった細胞に変化させた後に、その患者に移植する方法を実施しています。(健康な他の動物から採取し培養した幹細胞を患者に注入する他家移植という方法もあります。)
これまで治療法が存在しなかった病気に対する新しい治療法として再生医療が注目され、現在、世界中で研究が行われています。ヒト医療においては、厚生労働省の先進医療に認定されており、すでに臨床現場において利用が始まっている治療方法でもあります。
当院では、免疫細胞療法として「活性化自己リンパ球療法」「樹状細胞療法」を、間葉系幹細胞療法として「脂肪幹細胞療法」を実施しています。
免疫細胞療法(活性化自己リンパ球療法・樹状細胞療法)
動物の体には免疫とよばれる働きが備わっており、体の中に侵入した細菌やウイルスを取り除く力があります。 免疫は、癌ができたり転移したりすることとも密接な関係があります。体の免疫力が低下した状態では、癌ができやすくなることが知られています。
癌の治療は、手術や抗癌剤や放射線で取り除こうとするのが一般的ですが、近年はこれとは別に、動物の体に生まれつき備わっている免疫の力を利用したり、免疫の力を強めたりすることで癌の発症や進行を抑えようとすることが試みられています。これが免疫細胞療法と呼ばれているものです。
当院では、患者である動物から採血し、その血液からリンパ球を取り出し、培養、活性化し、その活性化されたリンパ球を点滴で動物の体に戻す方法をとっています。大きな腫瘍や進行癌を消滅させるような強い効果があるものではありませんが、手術後の再発防止や生存期間延長の一助になる事が知られています。また、QOL(生活の質)の向上が期待できます。
癌の三大療法と第4の治療法
外科手術
化学療法
放射線療法
免疫細胞療法
間葉系幹細胞療法(脂肪幹細胞療法)
動物の体には、さまざまな器官や臓器などに変化する幹細胞と呼ばれる細胞が存在します。幹細胞療法とは、この細胞を体外で培養し、動物の体に戻してあげることで、失われた臓器の機能を修復する治療法です。当院では、患者である動物の皮下脂肪を少量採取し、そこから幹細胞を取り出し、培養して増殖させ、その動物に移植する方法をとっています。
幹細胞は、身体の傷ついた場所に移動して修復を促したり、体内で様々なサイトカインという物質を生産して、治療を促進すると考えられています。この幹細胞の性質を上手に利用して身体の損傷部位を修復し、難治性の炎症性疾患や慢性疾患、神経機能損傷、免疫疾患などの治療を目指します。
理学療法
「機能の回復」「痛みの緩和」「生活の質の向上」をめざし、リハビリテーションを積極的に取り入れています。
特に椎間板ヘルニアの術後は早期から適切なリハビリならびに鍼治療を実施することで、回復が早まると考えています。
また、高齢化や様々な原因による運動器障害や神経機能障害にも鍼灸治療、レーザー治療、リハビリを実施しています。
自然療法
自然療法とは、「動物が本来持っている自然治癒能力」を向上させることにより、 病気の治癒、症状の改善および健康の維持を目指す療法です。
当院では、漢方、鍼灸、サプリメント、ホモトキシコロジー(ドイツ自然療法)を一般治療に併用、もしくは単独で用いる治療を行なっています。
身体への負担が少ないため、若齢や高齢の動物にも安心な治療方法です。